早期教育とは?幼児教育の違いって何?早期教育のメリットや弊害、後悔しないために親ができること

知育

子どもを持つと、英語や数字の勉強をさせたい、サッカーやバスケなどのスポーツを好きになってほしいと願い、幼いうちから取り組ませる人も多いでしょう。

実際に就学前の子どもを対象とした幼児教室や塾・通信教育など、多くの教育サービスが存在していますね。

そこで今回は、小学校に上がる前から行われる「早期教育」をメインに、その意味やメリット・デメリットを紹介します。

違いが分かりづらい「幼児教育」との違いについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

早期教育とは?

「早期教育」とい言葉を聞いて、どのようなイメージをもつでしょうか。

一般的には「0歳から6歳の子どもに対して行われる教育」と言われますが、幼児教育との違いについて問われると、答えに困ってしまいますよね。

まずは早期教育の概要や目的、種類について確認していきましょう。

早期教育の定義|小学校入学前に行われる教育の総称

早期教育とは、小学校入学前の子どもに対する教育の総称で、何か一つの分野に絞ったものではありません。

英語やピアノ、読み書きやスポーツなど就学前の子どもに対するあらゆる教育を含んでいます。

幼児だけではなく、赤ちゃんに対して英語を聞かせたり本の読み聞かせをしたりすることも、広い意味での早期教育の一つです。

ただ、その定義は意外と曖昧なもので、育児と早期教育に線引きをすること自体難しいもの。

例えば、子どものおむつ替えで声を掛けることさえも教育と考える人もいます。

そういったことを踏まえた上で、東京大学名誉教授でもある汐見稔幸氏は、文部科学省の中央教育審議会(1998)の場で、早期教育の定義について次のように述べています。

子どもの何かの力を伸ばそうとして、意図的に行う大人からの働きかけの中で、その社会の中での平均的な開始時期よりもかなり早くから開始されるもの

つまり、早期教育とは「英語を話せるように」「受験に合格できるように」といった知識やスキルを子どもに身に付けることを目的に、一般的な年齢よりも早く始める教育であると言えます。

早期教育の種類|超早期教育、就学前教育

日本で行われている早期教育は、大きく2種類に分類されます。

種類 内容
超早期教育 ・胎児や乳児に対する教育
・特に脳に刺激を与える活動を行うことが多い
就学前教育 ・小学校に入学する前の教育
・読み書きや足し算引き算、英語などのスキルの習得が目的

他にも日本の制度上は当てはまりませんが、海外では予定より早く小学校などに入学する早期就学、学年を飛ばして進級する飛び級・飛び進学があります。

また知的分野の早期教育に関しては、年齢以外の視点から大きく3タイプに分類できます。

  • 幼児教室 ― 親子で教室に行き、指導者のもとで学ぶ
  • 通信教育 ― 定期的に届く教材を使って学ぶ
  • 教材購入 ― 通信販売等で教材をまとめて購入し少しずつ学ぶ

(参考:文部科学省 中央教育審議会「幼児期からの心の教育に関する小委員会(第11回)」 議事録)

このように、早期教育といっても多種多様なタイプが存在しており、それぞれの家庭や子どもに合う教育法を選んでいくのが一般的です。

早期教育と幼児教育の違いは何?

同じような意味で使われてしまうこともある「早期教育」と「幼児教育」。

その違いは一体どのような点にあるのでしょうか。幼児教育の定義とその目的について紹介します。

幼児教育は、生活のすべての場において行われる教育の総称

文部科学省の中央教育審議会が出した資料によると、幼児教育の定義は次のように説明されています。

幼児教育とは,幼児に対する教育を意味し,幼児が生活するすべての場において行われる教育を総称したものである。

具体的には,幼稚園における教育,保育所等における教育,家庭における教育,地域社会における教育を含み得る,広がりをもった概念として捉えられる。

つまり、幼児教育とは、小学校に入学する前の幼児に対する教育の総称で、幼稚園や保育園だけでなく、家庭や地域教育における教育も含んでいるということです。

しかし、これだけでは早期教育と同じように感じてしまう人もいるでしょう。

そこで注目したいのが、早期教育と幼児教育の目的の違いです。

生涯にわたる学習の基礎をつくり、「後伸びする力」を培うことを重視

文部科学省の先ほどの資料には、早期教育と幼児教育の違いについて次のように述べられています。

この幼児期の発達の特性に照らした教育とは,受験などを念頭におき,専ら知識のみを獲得することを先取りするような,いわゆる早期教育とは本質的に異なる。

幼児教育は,目先の結果のみを期待しているのではなく,生涯にわたる学習の基礎をつくること,「後伸びする力」を培うことを重視している。

(引用:文部科学省「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について(中間報告)(案)第2節 幼児教育の意義及び役割」)

つまり、早期教育では「具体的に何か特定の力を身に付けること」を目指しているのに対し、幼児教育では「学習の基礎をつくること、後伸びする力」を培うことを目的としているという点が、両者の大きな違いです。

スキルの習得に向けて何かを与えられる早期教育と、子どもの資質を育み、持っている可能性を引き出して伸ばす幼児教育では、目指すところが全く違うことがよく分かりますね。

早期教育のメリット

勉強する子ども

ここまで早期教育と幼児教育について紹介してきましたが、早い時期から教育を受けることは、具体的にはどのような効果があるのでしょうか。

早くスキルを身に付けられたり、他の子よりも勉強ができるといったイメージもありますが、メリットはそれだけではありません。

次に挙げた3つのメリットについて見ていきましょう。

  • 右脳の発達を働きかける
  • 子どもに自信がつき能力を伸ばせる
  • 勉強が習慣になる

右脳の発達を働きかけることができる

脳は、左脳と右脳で役割が異なることはよく知られていますね。

右脳は記憶やイメージ、感情の役割があり、左脳には言語や論理的に考える役割があります。

これまでの研究から、幼児期の子どもの脳は、年齢によって発達しやすい部分が異なることが分かってきました。

それは、0歳に近ければ近いほど右脳が発達しやすく、3歳を過ぎる頃から次第に左脳の働きが大きくなるということです。

つまりこの考え方に照らせば、幼いうちから右脳を刺激する適切な教育を行うことで、子どもの能力を最大限に引き出すことができます

ちなみに、この研究を生かした教育法に「七田式教育」があります。早期教育の有名どころですね。

参考:七田式教育公式サイト

親や先生に褒められて子どもに自信がつく

早期教育を通じて褒められる機会が増えると、子どもが自信をもてるようになります。

例えば、ロンドンオリンピックで金メダルを獲得した体操の内村航平選手の母は、乳児期から右脳教育を取り入れ、創造力や記憶力・集中力を鍛えていたそうです。

そして3歳のころから体操を始め、今では世界のトップアスリートに成長しました。

内村選手の母が教育の中で重視していたのはとにかく「褒めること」だそうです。

褒められることで自信がつけば、より高い目標をもつことや練習に励むことができます

親が褒めて伸びる子もいれば、幼児教室や習い事の先生に褒められて伸びる子もいるため、子どものことをよく観察しながら、早期教育で褒めることを取り入れていくといいですね。

勉強が習慣になる

早期教育を取り入れることは、日々の学習や習慣化に繋がります。

朝起きたら顔を洗う、食事の後母を磨くといった生活習慣のように、毎日積み重ねていくことで自然と勉強も習慣化されていくものです。

幼児期のうちに習慣化されれば、小学校に上がってからの授業や宿題もスムーズに取り組めそうですね。

早期教育のデメリット

勉強のやる気がない子ども

このように早期教育は子どもの成長に一定の効果を発揮します。

しかしメリットばかりではありません。早期教育のデメリットをいくつか挙げました。

  • 暗記が先行して思考力が育ちにくい
  • 精神的なストレスで睡眠不足になる
  • 勉強や物事に対して受け身な子どもになる可能性がある
  • 友達と遊ぶ時間が少なく、同世代とのコミュニケーションが下手

暗記が先行して思考力が育ちにくい

メリットの部分で紹介した通り、3歳までは記憶力を持つ右脳の能力が高く、右脳に合わせた学習を行うのが効果的です。そのため、暗記を重視した学習内容になりがちです。

一方で、3歳以降も単純に知識を詰め込んだり暗記したりするだけでは思考力は育ちません。

3歳以降は思考力を担う左脳が優位になるため、単純に暗記するような学習ばかりではなく、思考力を鍛える学習を意識する必要があります。

精神的なストレスで睡眠不足になる

子どもにとって早期教育がストレスになり、睡眠不足などの弊害をもたらす場合があります。

例えば、次のようなパターンが考えられます。

  1.  親が熱心になりすぎるあまり習い事が多すぎる
  2.  成績や結果を出すことがプレッシャーになる
  3.  ストレスで眠れなくなり睡眠不足になる

睡眠不足になると日中の活動量が減り、ますます悪循環に陥りますよね。大人でも毎日のように多忙だと疲れてしまうので当然でしょう。

寝つきが悪くなくなる、あくびが多いといった様子が見られれば、それは子どもに無理をさせているサインです。最近様子がおかしいなと思ったら、子どもの教育を見直す必要があります。

勉強や物事に対して受け身な子どもになる可能性がある

早期教育の多くは、例えばフラッシュカードなど決まったものに反応するパターン化された学習です。

フラッシュカードなどは記憶に残りやすいというメリットもある一方で、パターン化された学習に慣れすぎてしまうことで、子どもが受け身の姿勢になる可能性があります。

子どもが自発的・自主的に動くことが苦手になってしまわないよう、課題を与えてばかりではないか見直してみてください

友達と遊ぶ時間が少なく、同世代とのコミュニケーションが下手

習い事や塾が多いと、どうしても友達と遊ぶ機会が減ってしまいます。

集団遊びは子ども同士のルールを学び、コミュニケーションをとる楽しさを経験できる学びの場です。

子どもの成長のためにも、習い事や塾以外に遊びながら社会性を育む機会も取り入れたいところですね。

早期教育に向けて親が気を付けておきたいこと

このようなメリット・デメリットを踏まえたうえで、早期教育を行う場合に親が気を付けたいことを次のようにまとめました。

  • 子どもの発達に合わせて教材や教育法を選ぶ
  • 他の子どもと比較して無理に押し付けない
  • 与えてばかりにならないよう、子ども自身のやる気を引き出す

一つずつ見ていきます。

子どもの発達に合わせて教材や教育法を選ぶ

焦って無理に子どもの発達に合わない勉強をする必要はありません

子どもの年齢や成長のスピードによって、合う教材や教育法は変わってきますよね。

年齢に対して早すぎる教材を使ってしまうと、子どもの理解が追い付かず「勉強は楽しくない」と思う可能性は十分にあります。

特に家庭で取り入れる場合は焦らずに、「今の教材や教育法は、子どもに合っているかな」と様子をうかがいながら段階的に進めていくといいでしょう。

他の子どもと比較して無理に押し付けない

子どもの成長は人それぞれ個性があります。

周囲のママ友が同じように早期教育に取り組んでいて、話題になることもありますよね。

つい「うちの子は平均くらいできているのかな」と気になってしまうものですが、他の子ができるならうちの子も出来るはずだと比較する必要はありません

子どもが自分のペースで成長していけるように、見守っていく姿勢が大切です。

与えてばかりにならないよう、子ども自身のやる気を引き出す

子どもの成長を願うあまりつい環境を整えて「あれもさせたい」「これもさせよう」と考えがちですが、最も大切なのは子ども自身のやる気です。

親が強要するのではなく、子どもの「もっと学びたい」「学習が楽しい」という気持ちを大切にしましょう。

体験教室などを利用しながら、子どもが興味を持っていることや好きなことを探してみるのもいいですね。

早期教育で後悔しないために大事なのは、子どものことを考えること

賢い子どもにしたいと早期教育を始める親は多いですが、子どもが大きくなってから「早期教育はやらないほうが良かったのかも」と後悔する人も少なからずいます。

後悔の理由は、「バイリンガルに育てようとしたら日本語の発達が遅れた」「スポーツ選手になってほしくて子どものうちから何でもやらせすぎた」といったものです。

どれも共通するのは「こんな子どもにさせたい」と親の思いを押し付け、子どもがその後どうなるかまでを考えていないことにあります。

早期教育を行うことよって考えられる将来の姿やデメリットまでをある程度知っておくことで、早期教育による後悔は減らせるはずです。

取り組もうとしている早期教育は子どものためのなのか、親が満足するためなのかをよく考え、選んでいくようにしましょう。

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