子どもの英語はいつから始める?脳科学的には幼児期に始めたほうがいいって本当?

おうち英語のコツ

小学校から英語が必修化になったり、大学入学共通テストで英語の試験内容が変更されたりして、子どものうちから英語を学習することがこれまで以上に求められるようになりました。

ただ、子どもに英語をいつから学ばせればよいかといった明確な指標は特にありません。

乳児期の頃から始める人もいれば、学校で習うので十分という人もいるなかで、いつ英語の学習をスタートさせるかは悩ましいものです。

一つ言えるのは、乳幼児期から英語教育を始めることで少なからずメリットがあるということ。

そこで今回は、小学校における英語学習の立ち位置や、就学前から英語学習を行うことによる効果と、子どもに英語をやる気にさせる方法について紹介していきます。

英語が小学校5年生から正式科目に!小3から外国語活動がスタート

教科としての英語(外国語)は、2018年から2年間の移行措置を経て、2020年4月から全国の小学校で開始されました

学習指導要領では、小学校における外国語活動の目標について、次のように定められています。

外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,話すことの言語活動を通して,コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1) 外国語を通して,言語や文化について体験的に理解を深め,日本語と外国語との音声の違い等に気付くとともに,外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむようにする。

(2) 身近で簡単な事柄について,外国語で聞いたり話したりして自分の考えや気持ちなどを伝え合う力の素地を養う。

(3) 外国語を通して,言語やその背景にある文化に対する理解を深め,相手に配慮しながら,主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

(引用:小学校英語学習指導要領(平成29年告示)解説「外国語活動・外国語編」)

ここからは、「言語や文化について体験的に理解を深める」「基本的な表現に慣れ親しむ」といった以前の目標に比べて、「聞くこと」「話すこと」が重視され、より「外国語を使うこと」が求められています。

また、英語としての目標は次の通りです。

英語学習の特質を踏まえ,以下に示す,聞くこと,話すこと[やり取り],話すこと[発表]の三つの領域別に設定する目標の実現を目指した指導を通して,第1の(1)及び(2)に示す資質・能力を一体的に育成するとともに,その過程を通して,第1の(3)に示す資質・能力を育成する。

(引用:小学校英語学習指導要領(平成29年告示)解説「外国語活動・外国語編」)

つまり、外国語の目標では一つの領域だった「話すこと」が、[やり取り]と[発表]の2つに分かれることで、英語を使って会話をすることや何かを発表するといったスキルの習得が求められていることが分かりますね。

この目標を達成するために、小学校5・6年生では教科としての「外国語」として英語が導入され、タブレットやALTを活用しながら、英語教育が進められています。

一方、成績は付かないものの、3・4年生は「外国語活動」として英語学習が実施されており、主に「聞くこと」「話すこと」を中心に授業が行われているところです。

2020年から小学校で英語教育必修化!目的や内容、現状の問題点、家庭でもできる英語学習の方法を紹介
文部科学省の指針により学習指導要領が改訂され、2020年度から公立小学校で英語教育が必修化されました。 ニュースなどでも多く取り上げられていたため、ご存知の方も多いと思います。 必修化された英語教育の対象となるお子さんをお持ちの...

参考:2020年から小学校で英語教育必修化!目的や内容、現状の問題点

幼児期から英語教育をするメリットは?

英語教育をするメリット

小学校では小学3年生からスタートしている英語教育ですが、就学前の幼児期のうちから英語学習を始めたほうがいいという声もあります。

小学校に入る前から英語を学習するメリットを挙げてみました。

  • 正しい発音が身に付く
  • 「英語耳」が育つ
  • 英語を学ぶことへの拒否感が無くなる

それぞれについて、一つずつ確認していきましょう。

正しい発音が身に付く

英語の発音を身につけるためには、英語のリズムを身につけることがポイントです。

これは、英語のリズムやイントネーションが日本語とは違っているためです。

日本語が母語の場合、ローマ字を先に習ってしまうと、初めて英語の音を認識する時に、英語をローマ字読みで考えてしまいがちです。

それにつられて発音もローマ字読みのカタカナ発音になることが多いですが、それはあくまでも日本語の発音形式に置き換えられた音で、実際の英語の音とは違っています

ローマ字読みがまだ身に付いていないうちに英語学習を始めることで、効率的に正しい発音を身に付けることができます。

「英語耳」が育つ

「英語耳」というのは、英語の発音を正確に聞き取る力のことです。

具体的に言うと、「英語耳」のある人は、英語の発音と日本語の発音やイントネーションの違いを聞き分けられ、英語独自のアクセントの違いを自然に認識することができます

例えば、「L」と「R」は日本語で同じ「ラ行」に属するため、日本人にとってはなかなか聞き分けるのが難しい音ですよね。

ここで、アメリカの発達心理学者キュール氏(Patricia K. Kuhl)による、音の聞き分けに関する研究(「Early Language Learning and Literacy: Neuroscience Implications for Education」)を簡単に紹介します。

キュール氏によると、母国語以外に対する音の聞き分けができなくなる時期がある程度時期が決まっているそうです。

キュール氏は、日本語を母語とする赤ちゃんに対して、「L」と「R」の音を聞き分けられるかに関する実験を行いました。

すると、生後10カ月の子どもは、日本の大人と同じように英語の「L」と「R」の区別をすることができない一方で、生後6~8ヶ月の子どもは音の聞き分けができたそうです。

つまりこの実験からは、生後10か月の時点で母国語以外の言語について聞き分けができるかどうかは決まっているということが分かります。

英語耳と聞き分けの研究

この研究結果を聞いて、すでに子どもが10ヶ月以上になっていたら「英語耳」のある子どもにすることは難しいのでは…と落胆してしまう人もいるかもしれません。

確かに細かな聞き分けに関して差が生じる可能性は高いですが、子どものうちから英語の音に慣れ親しんでおくことで、英語を「聞く力」を育てることはできます

大人でもしばらく英語を聞いていないと、リスニング力は落ちますよね。

子どものうちから英語を日常的に聞く習慣を付けることで、英語の音を聞き取りやすくなるはずです。

英語を学ぶことへの拒否感が無くなる

「中学校で英語が始まった途端、英語に対する抵抗感が生まれ、一気に苦手科目になった」という人は少なくありません。

しかし幼児期に勉強としてではなく、楽しみながら英語に触れておけば、小学校で授業として始まった時でも、抵抗感なくスムーズに入っていくことができます

突然、耳慣れない言語を学習し始めるのとは違い、音が聞き取れたり、単語を知っていたりと、「分かる」経験が多ければ、自信を持って学習に取り組めるでしょう。

幼児期から英語教育をするデメリットは?

間違った方法で英語教育をすると、デメリットもあります。ここでは3つのデメリットについて見ていきましょう。

  • 英語嫌いになる可能性がある
  • 英語学習を継続しないと定着せずに忘れてしまう
  • 読む・書く・聞く・話すの4技能がバランスよく身に付くとは限らない

英語嫌いになる可能性がある

子どもは「面白そうだ」と興味をもったものは、簡単に覚えてしまいます。

例えばアニメのキャラクターの名前や、サッカー選手の名前など、自分が興味を持ったことに対する吸収力は目を見張るものがありますよね

しかし、親から「させられている感」があると、子どもは敏感に感じ取り、嫌になってしまうこともしばしば。

そのため、英語教育においても、強制的に学ばされているのではなく、楽しい環境や方法を作ってあげることが重要です。

家庭で英語学習をする際、ひたすらフラッシュカードで単語を覚えさせたり、間違いを指摘されてばかりいると、せっかく早くから始めても英語嫌いにさせてしまう恐れがあります。

ですからまずは「音」に慣れさせ楽しませることが重要です。

英語学習を継続しないと定着せずに忘れてしまう

親がバイリンガルだったり、英語圏に住んでいたりしない限り、普段の生活で英語を使うことはほぼ無いないに等しいです。そのため、自ら英語に触れられるような環境を作らなければなりません。

いくら子どもの記憶力がいいと言っても、毎日意識的に英語に触れていないと忘れてしまうものです。

大切なのは、毎日英語を浴びることです。暇を見つけては英語の音を聞かせて、それを積み重ねるようにしましょう。

食事の支度をしている間もいいですし、子どもに英語のDVDを見せたり、昼寝の前に英語の子守歌を流したりするなど、隙間時間を活用してみてください。

隙間時間を合わせれば、1日の中でもかなり長い時間英語に触れることができます。

読む・書く・聞く・話すの4技能がバランスよく身に付くとは限らない

リーディング(読む)・リスニング(聞く)・ライティング(書く)・スピーキング(話す)の4つのスキルのことを、英語における「4技能」と呼びます。

幼児のうちに、これらすべての技能がバランスよく身に付くとは限りません。

言語の習得はまず、周りが話している言葉を大量にインプットする「聞く」ことから始まります。

BGM程度に英語の曲をかけ流すなど、英語が自然と耳に入ってくるような環境づくりをしましょう。

「読む」に関しても、英語の絵本を読み聞かせたり、正しい読み方(フォニックス)を教えることで、英単語を見たときに、段々と、単語の読み方の見当をつけることができるようになってきます。

しかし、「書くこと」「話すこと」は、一朝一夕にはいきません。

ひらがなやカタカナもままならない状態で、英語をいきなり書かせるのは、ハードルが高いですし、また、「話す」というのはかなり高度です。

話すにはたくさんの英単語や基本的な文法はもちろんのこと、言葉を紡いで文章として話す力が必要になります。

子どものうちから4技能をバランスよく身に付けさせようとはさせず、少しずつ力をつけていけるようにしましょう。

子どもの英語教育はいつから始めたらいいの?

メリットやデメリットで見てきたように、英語学習を始めるタイミングによって、その効果は一長一短です。

そのため、子どもの英語教育を始めるタイミングは、親次第と言えるでしょう。

ただ、メリットの部分で紹介した通り、「英語耳」や「発音」を重視するなら、乳幼児期にスタートさせておいたほうがいいと言われています。

脳科学的には神経系の発達が著しい0歳から6歳がおすすめ

スキャモン 発育曲線

子どもの発達を「一般型」「リンパ型」「神経型」「生殖器型」の4つに分類し、それぞれ成長しやすい時期とそうでない時期を示したグラフを「スキャモンの成長曲線」と言います。

(図引用:四国大学 スポーツビジネス研究室)

英語教育で関係するのは、この分類で言うと神経系です。

神経系の組織の発育は、6歳ころまでに80%近くまで発育すると言われています。

例えば、運動神経もその一つです。

自転車に一度乗れてしまったら数年乗っていなくてもすぐに乗れてしまうように、神経系は一度その経路が出来上がれば消失しにくいもの。

言語を司る神経にも同じことが言えるのではないでしょうか。

赤ちゃんの言語の習得方法を見てみると、2歳頃までひたすら親の話していることをインプットし、2歳ごろから急に親の真似をして言葉があふれ出すようになります。

つまり、子どもの発育的には、6歳までの神経系の成長が著しい時期に、英語の「音」に触れておくことは、その後の英語学習にいい効果をもたらすと考えることができます。

小学校に入ってから習い事として始めるのでも遅くない!

聞く力や発音を重視するなら幼児期に始めたいものですが、6歳を過ぎたからといって、遅すぎるということは決してありません

実際、大人になってから英語を習得している人もたくさんいます。

思い立ったが吉日。始めようと思ったら取り掛かればいいでのです。

3年生から外国活動がスタートするので、それに合わせて習い事を始めたり、その前から始めておくと、スムーズに授業に入っていくことができますよ。

「英語を勉強しないと!」と力まなくても、まずは英語の音に触れる機会をもつことから始めてみましょう。

YouTubeので英語のアニメを見てみるなど、今の時代、手軽に英語に触れることができます。

英語に対する子どものやる気を引き出すには?

いくら親にやる気があったところで、子どもが英語を勉強する気持ちにならない限り、学習は続かないもの。

子どもたちが英語を勉強したいと思えるように、どのような工夫が必要か見ていきましょう。

  • 英語を学ぶ目的をもたせる
  • 英語を楽しめる環境をつくる
  • できるだけ良いところを探して褒める

英語を学びたいと思える目的をもたせる

英語を話せるようになるとどんないいことがあるのかなど、英語を習得する目的を持つ方が、モチベーションも上がります

そのためには「使うこと」つまりアウトプットを意識するようにしてください。

例えば、インターネットの交流サイトを利用して話し相手を作り、会話のできる環境を整えてあげてはどうでしょうか。

英語は相手とコミュニケーションを取るために必要なものであると、子供は認識してくれるはずです。

親が英語に自信がなくても、そういった環境はいくらでも準備できます。

英語を楽しめる環境をつくる

遊びの要素を取り入れると楽しみながら学習できます。

そのため、遊びの延長で英語が身につくような環境を整えてあげることをおすすめします。

いつも図書館で借りる絵本を英語のものにしてみる、英語の童謡を歌ってみるなど、親子で楽しみながらやるといいでしょう。

間違いを見つけて否定ばかりせず、できるだけ良いところを褒める

間違いを放置するのは良くないですが、否定してばかりいると、英語嫌いになりかねません

文法や発音の間違いはすぐ指摘したくなりますが、子どもにやる気があれば、上達するために自分で直す努力をするはずです。

どんな小さなことでも認めてあげ、褒めてあげることで、子どもの学習意欲は高まります

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本人が英語に興味をもっていれば自然と学びは深まるもの

英語をいつから始めるのが良いかについて見てきました。

幼児期から英語を始めるメリット・デメリットをまとめると次の通りです。

【幼児期から英語を始めるメリット】

  • 正しい発音が身に付く
  • 「英語耳」が育つ
  • 英語を学ぶことへの拒否感が無くなる

【幼児期から英語を始めるデメリット】

  • 英語嫌いになる可能性がある
  • 英語学習を継続しないと定着せずに忘れてしまう
  • 読む・書く・聞く・話すの4技能がバランスよく身に付くとは限らない

人気の習い事ランキングでは、ピアノや水泳などの王道に加えて、英語やプログラミングを習う子どもが年々増えてるそうです。

小学5年生から成績まで付くとなると、うちの子どもは大丈夫かと心配になり、早めに始めたいと思いますよね。

ただ、英語嫌いになってしまうと中学・高校でも英語を勉強するのが億劫になる可能性もあります。

無理に押し付けようとはせず、、海外の音楽や文化に触れることから始めるなど、本人が英語や外国語に興味をもち、自然と勉強したくなるようにしていくと良いでしょう。

学びたいという意欲をもてれば、自然と学びは深まっていくはずです。

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